「蝶と雨」は「花とハチ」と並んで「キヨコお姉さん」と「デ・ポン!」が初めて番組に登場してきた時のバージョンのため、とても印象深いものがあります。
どちらも春をテーマにしたカラフルな赤、黄などの暖色系を取り入れた華やかな女の子向けの配色。観るみんなの心にすっと受け入れ易いポピュラーな題材。オーソドックスというかスタンダードというか由緒正しき?「デ・ポン!らしいデ・ポン!」と言えるように思います。
今日はこの「蝶と雨」について触れてみます。
まず、タイトルをみると「蝶」と「雨」という取り合わせに驚かされます。普通「蝶」であればすぐに連想されるのは「花」。しかしこれは「ハチ」の方に譲り、なんと「雨」とカップリングにしたのが斬新なアイデア! 蝶は羽の面積が広いため、雨でびしょ濡れになって困ってしまわないか、と最初余計な心配をしてしまいます。
衣装を見てみると、頭に花の飾り。これがまず独特で目をひきます。割と丈のある花飾りのため、数あるデ・ポン!の中でもこれは小柄でキュートなキヨコお姉さんが一番すらっとして凛々しく見えます。ベースの赤い衣装に胸と腰に黄色いふさふさ。これが花と蝶を表し、下の青いスカートが雨を表しているかのように個人的には感じられます。
踊りについて見てみると、全体的に手を大きく伸ばしてくねらせる動きが多いのが特徴的。腕を伸ばし大きく丸く廻すところ、そしてサイドに向かって手をピンと伸ばす振りが前半の「蝶」の場面で多く出てきます。
そして切り替え場面、『あれーっ、雨だー。』と言って上を見上げるところでのキヨコお姉さんの甘くて優しい高い声と首カクカクが見せ場。『ポッチャン』という破裂音を使った台詞も雨をジトジトした嫌なものではなくかわいらしく表現しており、好感が持てます。
背景に目をやってみると、花と蝶の華やいだ前半、それから一転雨が振りだし青いバックに変わるところ、最後に綺麗な虹が出てハッピーに終了するところ、三段階の切り替えが綺麗でメリハリがとても効いています。
実は、初期の頃のデ・ポン!の中では私はこれが一番お気に入りですね。大きなおおらかな体の動きがふんだんにある振り付け、赤青黄の色の三原色を取り入れた華やいだ衣装、背景切り替えの大胆さ。一作品で色んな要素が一度に取り入れられており、とても総合的、スタンダードな気がするのです。
そして、キヨコお姉さんがすらりとしてきらびやかで凛々しくて美しくて、これが一番「王女様」のように見えますね。
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